銘酒が
生まれるところをリポート
「人々の絆」が出来るまで

第1章町の車屋さんが「F1グランプリに挑戦します」
って言い出したに等しいくらいの冒険やったんでしょうね。

かなり古くからこちらの酒屋さんは続いてると思うんですが、創業はいつごろなんですか。
蔵自体は江戸時代からある蔵だと聞いてます。ただ、池本家が経営して池本酒造になったのは昭和元年からです。私の曽祖父が始めました。曽祖父、その長男、次男、孫、そしてひ孫の私と続いて私です。
それで5代っていうことですね。
昭和の頃 滋賀の蔵の多くは、灘・伏見の2大名醸地のお膝元という場所柄、「桶売り」と言って大手の下請けをやっている蔵が多かったようで、滋賀の蔵は自社ブランドの比率は高くはなかったようです。
ああ、そうなんですか。
うちも下請けとして、お酒ができると大手に買い取ってもらっていました。日本酒の売り上げがまだまだ右肩上がりで、造れば売れたような時代の話だと思います。しかし昭和の終わり頃、日本酒消費量がピークから減少に転じると、大手の下請けをやめて自分のとこのブランドでやっていこうと親父は考えたようです。
なるほど。
そのためには個性あるお酒を造らなければいけないっていうことで、まだその当時あまり普及していなかった「吟醸造り」を親父がやろうとしたんです。だけど、技術も何もない。教えてもらうために指示を仰いだのが東京農大の小泉武夫先生。毎日もろみのサンプルを採って研究室に送って分析してもらい、いろいろ指示を仰いだようです。
挑戦だったんですね。
だから、自分で言うとかっこつけた言い方になりますけど、こんな田舎の小さい蔵が大手の下請けやめて吟醸造りを始めるなんていうのは、町の車屋さんが「F1グランプリに挑戦します」って言い出したに等しいくらいの冒険やったんでしょうね。その時は「池本の専務と杜氏は気が狂いよった」と、周りからは言われていたらしいです。昭和の終わりぐらいの話です。

第2章たとえ安いお酒であったとしても、
その人が「ほんまにこれが好きなんや」っていうなら、
その人にとってはそれが大吟醸なんですよ。

それで自分のブランドとしてスタートされて。
幸運にも吟醸造り挑戦2年目にして全国新酒鑑評会で金賞をいただけたんです。それが昭和60年。またありがたいことに、ちょうど その頃 吟醸ブームという追い風にも恵まれて。
なるほど。吟醸っていうのはやっぱり結構難しかったりするんですか、製造としては。
はい。吟醸発酵は、普通とはちょっと違う低い温度で、普通の発酵とは違う経過を辿るんです。吟醸の特徴は、高い香りと、繊細な味わいだと思います。
その当時はやっぱり難しい技術だったんでしょうね。
吟醸でない仕込みだったら、15℃とか20℃ぐらいの、比較的 酵母にとっては居心地良い温度で発酵させるんです。しかし吟醸だと10℃とか8℃とか、瞬間的には5℃ぐらいまで落とすこともあるなど、酵母菌にとっては、過酷な温度で発酵させます。吟醸仕込みというのはそういうやり方なんです。そういう温度帯で醸すことで、あの高い香りが出せるのです。しかし一歩間違えると 酵母菌を死なせてしまってお酒にならんっていうリスクもあるし。
なるほど。その酵母菌が死んでしまうということもあるっていうことですね。
はい。また死なないまでも弱らせてしまうと発酵が捗らず、中途半端な酒になってしまったりします。吟醸っていうのは、鑑評会とかそういう会で金賞もらうために特別に造る、市販とは違う、技術力の象徴のお酒だったようです。だからF1ですよね。自動車メーカーだってF1グランプリで勝ったその車両をそのまま販売しないじゃないですか。今でこそ大吟醸は普通に販売されるようにはなりましたが。
吟醸と大吟醸っていうのはまた違うんですか。
吟醸よりさらにお米を磨き込んで、さらにリスキーな発酵させたお酒が大吟醸ですね。
本醸造っていうんですかね。そういう吟醸でないお酒と比べると、大吟醸とか吟醸とかのほうが、やはり人気はあるんですか。
その当時はやっぱり珍しいお酒やったので、人気はあったようですね、吟醸酒ブームも起きましたし。ただしかし、吟醸、中でも大吟醸こそがいいお酒かというと、私は必ずしもそうではないとも思うんです。良いか悪いかは好き嫌いにも拠るし 合わせる料理や、シチュエーションにも拠るんで。吟醸酒は技術の粋を尽くしたお酒だし、米粒が半分以下の小ささになるまで精米したお米で造るので、当然コストは高くなる。でも、高いお酒が いいお酒かというと 必ずしもそうではないとも思うんですよね。
なるほど。
例えば、F1マシンは早いけどそれを「いい車」と言ってしまっていいのか。じゃぁF1マシンを買ったとして、でもF1乗ってコンビニに買い物に行くわけいかないし、F1乗って配達行くわけにいかない。荷物も積めないですし。だから、目的が違えば良し悪しの基準も変わってくる。
飲み手の好みもありますよね。
結局のところその人の好みによると思います。あとシチュエーションや用途にもよりますよね。
はい。
「いいお酒」って何かって考えるんですけど。たとえ安いお酒であったとしても「おれは ほんまにこれが好きなんや」って人がいるなら、少なくともその方にとっては、それが その方にとっての大吟醸ってことでいいと思うんです。自分の味覚に正直に、忠実にいてもらうのが一番大切なことだと思います。
その通りです。
それを踏まえた上で、私は『琵琶の長寿』大好きなんですけど、中には「嫌いやねん」っていう人もいはると思います。残念ですけど そんなことがあっても仕方ないと思いますね、ご自分のお気持ちに正直でいてもらうためには。

第3章お酒に何かあればそれが昼でも夜でも土日でも平日でも関係なしに、
臨機応変に応じるっていう感じです。

大体1年で見るとどういう感じのサイクルでお酒って造っていかれるんですか。
まず一般論として言いますと、お米って秋に穫れるんで秋冬がスタートです。蔵によっては自家精米機を持っておられるお蔵さんもあるようですけど、うちは精米業者さんに委託するんです。うちに入ってくる時には精米された白米になって入ってきますね。
精米されたものを仕入れるんですね。
精米歩合についてお話しします。脱穀された状態の玄米を「100%」として表面を何%削り捨てるかという話なんですが、一般的に私たちが炊いて食べているご飯で考えると、例えば 「5分づき」って言ったら表面の5%削り捨てて中心の95%を食べていることになります。これを我々の言い方で「精米歩合95%」って言うんですね。7分づきなら精米歩合93%、上白でも精米歩合90%です。しかしお酒の原料米にする場合、うちでは、いちばん磨いてない(精米歩合が低い)ものでも70%まで磨きます。吟醸なんかだと60%、50%。50%よりさらに磨くと、アタマに「大」をつけて大吟醸を名乗る事ができるようになります。
なるほど。
うちは大吟醸の原料米は40%まで磨くんです。てことは玄米を1トン米買い付けても大吟醸用に40%まで磨けば400キロにまで減るんです。残り600キロはどこにいったかって言うと、ヌカや米粉になり他用途に利用されていきます。大吟醸は このように原料米が高いので、そんな原料米で造ったお酒の値段もおのずと高くなりますね。
酒造りっていうとスタートのシーズンとかあるんですか。
一般的には、冬ですよね。お酒って冬に造られるものですから。大体11月ぐらいから始めはる所が多いです。
そうなんですね。
一般論として11月ぐらいから造りが始まって、年が変わる頃ぐらいに新酒が出ますよね。その後2月、3月ぐらいまでの間に集約して造って、春には造り終えて、杜氏さんはそれぞれ自分の郷に帰るという感じです。
なるほど。
実は うちは、そういうやり方ではなくて、9月ぐらいから始めるんです。うちの造り方ってすごく独特なんです。
杜氏さんの1日っていうと。先ほど、朝仕込みっていうか、何か作業されたっていうのをお聞きしましたけど。大体、朝何時に起きて、例えば何時から何時まで何をするみたいな。1日のサイクルって。
当社の場合は、決まってないというか、実に決め難いんです。例えば今朝は、温度計とにらめっこしながら麹を触っていましたが、麹菌が繁殖して発熱して 麹の温度が上がっていき、ある温度に達したら手入れ操作すべきタイミングを迎えます。実際には温度のほか、見た目、手触り、風味などあらゆる感覚器官を駆使してそのタイミングを決めるのですが、麹も生き物なので 杓子定規では測りきれず、案外 臨機応変にというか、その場合わせになることが多いんです。そのタイミングが夜中にずれ込む場合もあれば 早朝になる場合もあります。人間の都合で9時に始まって5時に帰れるみたいな感じではなくて、必要とあれば夜中でも起きます。
麹やモロミ、それに搾りもそうなんですけど、前もって「何日間発酵させる」「何月何日に搾る」っていふうには厳密には決られないんです。仕込んでみたら思いのほか発酵がゆっくりで、このモロミは日数が長くなるな…っていう場合もあれば、逆にえらい急ぎ気味で、早めに搾れるな・・・っていう場合も、当社ではあっていいことだと考えているんです。お酒は、あくまでモロミが搾られたいタイミングで搾りたいんです。そうなると、土日もなければ昼も夜もないんです。その辺は人間の都合じゃないですよね。お酒に搾るべきタイミングが訪れれば、たとえそれが昼でも夜でも平日でも土日でも関係なしに、臨機応変に応じるっていう感じです。
そうなると例えば、長期でちょっと旅行行きたいとかいうのも難しいんじゃないですか。
基本的にはありません。土日も正月もないです、お酒造りをしてる期間は。お酒造りって、そんなもんです。

第4章ほかとは違う、琵琶の長寿の造り方

ここまでは お酒造り一般論としてお話してきましたが、ここからは よそとは違うウチの話をします。ちょっとね、極端な表現あるんでなるべく言葉選びますけど、言葉選び過ぎて真意が伝わらないのもアレなんで ざっくり言っちゃいます。
東京農大でお酒造りの勉強をしていた時、フタつきの小さいバケツを仕込みタンクに見立てて お米1キロぐらいでモロミを仕込むという、超小規模仕込みをやって、いろんなお酒を試醸しました。そんな仕込だと1回で扱うお米はせいぜい2合とか3合くらい、そうすると仕込みだって1人でできるんですよ。
へえ。
「小さい仕込みなら、お酒って1人で造れるんだな」って分かったんです。ただ実際の酒蔵では1Kg仕込みって訳にはいかず、大規模にやろうとするから どうしても人手が要る。それなら逆に、どれぐらいの仕込みまでなら1人でできるのかって考えてみたんです。
お酒を仕込む規模を「総米」と表現します。そのタンクに何Kgのお米を投じたかを表す言葉です。うちの蔵は、以前は 平均総米800Kgぐらいの仕込みを、杜氏含めて4人でやってたんですよ。800Kgでも一般的な酒蔵さんに比べたら、かなり小さいほうだったとは思います。4人で800Kgってことは、1人当たり200キロでしょ。
そうですね。
200Kg仕込みだったら1人でできるかなと思ってやってみると、確かに1人でも出来たんです。ただし、仕込みスケールが1/4になるからには製造量も1/4になる訳だし、今までと変わらん量を1人で造るには、今までの4倍の本数、お酒を仕込まないといけないでしょう。すると時間も4倍かかる。しかし、酒蔵と言うのは 春・夏・秋・冬 の4シーズンのうち冬しかお酒造ってない。それなら、冬以外の3シーズンにも仕込むことができるなら、今までの4倍の時間をかけて、今までの1/4スケールの仕込みを、今までの4倍本数やると。それが今までの1/4の人数である1人でも出来る…と。こういうふうに考えたら全部計算合ってくるでしょ。
一つ疑問が。じゃあ、周りが冬造っている理由って何なんですか。
まず、お米が穫れる時期が秋であるということ。秋に収穫されたお米が、晩秋から初冬の頃、蔵に入ってくるので、自ずとその時期がお酒造りの基点になります。でもお米って秋に穫れるけど、保存がきくことを考えれば、必ずしもその縛りに拘る必要もないとも考えられるのです。ブドウを原料とするワインならそうはいきませんけど。
お米は貯蔵きくから年中使えると。
はい。にもかかわらず、なぜ冬にしかお酒を仕込まないのか。理由はいくつかありますが、その最たるものは「温度管理の難しさ」にあります。例えば、寒い時期に 畑に堆積された肥料が発酵して熱を持ち、湯気が出ているのを見たことありませんか。人間の肉眼では見えないミクロン単位の微生物ですが、彼らが活動する時、熱量(カロリー)を発生し、発熱します。お酒を仕込んでいるタンクの中にも膨大な数の酵母菌がいて、頑張って発酵してくれているんです。ミクロン大の彼らですが、分裂増殖を繰り返し、発酵最盛期のモロミでは、実に コップ1杯のモロミの中に 数億の酵母菌がいるといいますから、タンク全体で見れば おびただしい数に上り、発酵中のモロミは発熱して温度が上昇します。さて、温度が上昇すると → 酵母菌は更に活性化し → 更にカロリー発生 → 更に温度上昇 →酵母菌は更に活性化し → 更にカロリー発生… という連鎖が生じて、どんどん温度は上昇し、発酵の至適温度を大きく上回ることになります。これを防ぐためにタンクの外側には水を通せるようになっていて、そこに冷水を循環させてタンクごとモロミを冷やして発酵温度をコントロールしています。そこに冬の寒さも手伝えば温度の過上昇は抑えられ、低温でゆっくりと発酵しながら 味わい深いお酒になっていきます。しかし、これも程度が過ぎて [冷却能力 < 発熱量] となると冷やしきれず モロミが「暴走」して、発酵をコントロールできなくなります。そうなると、いよいよ醪は大急ぎで発酵してしまって、あっという間にお酒になってしまいます。このような高温経過で短期間で出来あがってしまったお酒は、それはもう 薄っ辛くて 旨味のカケラもなく、お酒としては失敗と言わざるを得ないですね。仕込みの規模が大きくなればなるほど、このような暴走の危険が高まり、更に 高気温時に仕込むとなると、この危険もひとしおです。だから夏にはお酒を仕込まないというより、仕込めないのです。
冬ならコントロールしやすいということですね。
そうですね。さて 当社は「超・小規模仕込み」が得意な蔵です。そもそも大規模仕込みできるほど設備の整った蔵ではなかったので、小規模で仕込まざるを得ません。それならいっそ その方向性を極めようと考え 超小規模仕込みに特化した酒蔵にリニュアルしてきました。仕込みの規模が小さいということは、タンク内で酵母菌が発生する総カロリー量も少なくて済む、ということであり、例え夏場であっても [冷却能力 < 発熱量]の暴走状態にはならず、醪を完全に制御下に置けるのです。って言うよりも逆に 高気温時でも醪を制御下における仕込規模はどれくらい?…と、逆算して算出したのが、今の超小規模仕込であるとも言えましょう。こうして当社では、冬以外のシーズンでもお酒を仕込むことが可能となったのです。
通年お酒を造るスタイルですか。
さすがに真夏は やらないのですが、秋口から始めて、春先5月、6月までかけて小さい仕込みを連発してぎょうさんやる。それも小さいから1人でも出来ると。そういう感じの仕込みをやるようになってきました。その結果、1年の半分以上に渡ってモロミがあるんで、さっきおっしゃったように、旅行に行くなんて その時期にはできないんですよね。
それはそうですね。
また、この酒造業界には 私が生まれる前から 何十年とお酒造ってきた往年のベテラン杜氏さんがたくさんおられます。そんな方たちと同じ土俵で勝負しなければならないんですけど、経験年数は追いつけないじゃないですか、私が1年経験積むうちに その方たちも1年経験積まはるから。
はい。
「年数」じゃ追いつけないですけど、でも「本数」だと追いつけると思うんです。1本当たりの仕込み規模を小さくして その分 本数をたくさん仕込むという うちのスタイルだと、とにかく経験本数を稼げます。お酒造りって、やっぱり経験がモノを言う側面が大きいので、場数を踏むことはとても大切です。例えばうちでは年間約50本のモロミを仕込みます。仕込み本数だけで言えば、約2000石の大規模蔵のそれに匹敵します。この本数をすべて私が見守り、すべて私の手で瓶詰めして栓を打ち、緻密にデータを採っては蓄積して分析し、次の仕込みに活かす…、こんなスタイルをもう10年続けてきました。単純計算して50本×10年なので 通算500本は仕込んできた事になります。生涯仕込み本数500本超となれば、私も充分 中堅杜氏クラスでしょう。
なるほど。滋賀で年間50本ぐらいお酒仕込む蔵はあるんですかね。
大きな酒蔵さんだったら仕込まはるかもしれんけど、うちのような小さい規模の酒蔵でそんだけ仕込むというのは 滅多とないと思います。そういう意味では 私はこの先もまだまだ経験豊富な杜氏に成長していけるだろうと思っているんです。 また、決してお酒を1人で造りたかった訳じゃないんですが、でも少なくとも瓶の中身には 自分で全責任を持ちたいという強い気持ちがありまして、結果的に ほぼひとりで造っています。一般的な酒蔵において 蔵人は、杜氏以下 麹師、酛師、釜屋、のように役職・持ち場が決まっていて縦割り分業制であることが多いのです。その方が各人の専門性が高まるメリットがある反面、どうしても自分の持ち場以外で起こっている事には無頓着になり勝ちと言え、お酒造りの始終を見守るには不向きであるというデメリットがあります。しかし当社の場合は、全てのお酒を 私が杜氏として首尾一貫、この目で完全に見守っていますから、例えば 美味しいお酒が出来たなら 何が良くて美味しいお酒になったのか、また逆に 美味しくなかったなら どこが悪くてそうなったのか原因をリニアに理解できます。こういう理解を「次の1本」に繋げていくことで、当社は年々確実に品質を向上させることが出来るのです。

第5章勝手に琵琶湖からコイとか魚がぞろぞろ来る田んぼ。

さて、『人々の絆』を生産しておられますが、その味の特徴っていうのも、御社の特徴である酸味の部分ですか。
そうですね。うちの蔵で造るお酒には どれも共通した「上質な酸味を持つ」という特徴があり、『絆』も例外ではありません。しかし『絆』というお酒が 他と決定的に違うのは、原料米を 特定のお百姓さんに、無農薬で契約栽培してもらっているっていう点です。
そうですね。稲田養鯉っていうんですかね。
はい。アイガモ農法と似てるんですけど、それをアイガモではなく鯉でやります。田んぼに放された鯉は、天敵である鳥から狙われなくするため 田んぼの泥を尾ビレで掻いて捲き上げてその中に身を隠そうとするんです。この泥を掻くという行為がキーでして、根の浅い草は この時 泥と一緒に浮かされてしまって根を張ることができず、草が生えない。また、根を張っても泥水で光合成できないと生育が妨げられるので結局育ちにくい、そういう方法でやる無農薬栽培を稲田養鯉(とうでん=ようり)といいます。
なんかね僕、酒になったときの個人的な感想ですけど。なんかやわらかく感じる。今津っていう土地柄かな。
土地柄かもしれないですね。『絆』っていうお酒は「純米大吟醸」と「純米」と2種類あるんです。原料米は、どちらも「山田錦」という酒造好適米なんですが、純米大吟醸の原料米は、箱館山麓の酒波(さなみ)っていう地域で落合さんと言うお百姓さんに作ってもらっています。本当に山すそのええ感じの所です。片や 純米の原料米は、琵琶湖から数百メートルしか離れていない湖岸の田んぼで 堀田さんというお百姓さんに作ってもらっています。
違う方が作っているのですね。
どちらも稲田養鯉には違いないのですが、実は堀田さんは 鯉を放してはいないんです。堀田さんの田んぼには、琵琶湖へと続く小川に 魚が遡上するための「魚道」が設けてあって、特に田んぼに鯉を放さなくても 勝手に琵琶湖から鯉とかナマズとかその他の魚がぞろぞろ登って来るそうです。で、結果的に稲田養鯉になる、と。農薬を撒かない田んぼなので魚たちも居心地いいんでしょうね。
へえ。
落合さんの田んぼの方にも絶滅危惧種であるナゴヤダルマガエルっていうカエルがいたりするそうです。とにかく自然豊かで、農薬撒いてる田んぼではおよそ見かけないような生き物がいたりする。
山田錦って どんなお米ですか。
山田錦は「酒米の王様」と呼ばれているだけあって、やっぱり酒造特性は抜群です。しかし、私が彼らの山田錦に感じている魅力は、実は 酒造特性の点ではないのです。
山田錦は とても背が高い稲なんです。稲穂って、普通ならまっすぐ伸ばしてもせいぜい腰くらいまでの高さ(~100cm)だと思うんですが、山田錦は 人の背丈(150~170cm)ほどにもなる長稈種で、しかも米粒だって大きくて重いんです。背が高くて頭が重いのだから、倒伏しやすい気苦労の多いお米であることは言うまでもありません。また品種改良が進んだ一般的な食用米品種に比べたら、山田錦は品種改良が進んでいない原種に近い血統らしく、病気に対しての抵抗力も強くはないそうです。それを防ぐべく 田んぼの風通しをよくするために、間隔を広く空けて植えなければいけないのだから、田んぼ面積あたりの収量も多くはない。更に山田錦の栽培には 昼夜の温度差がある方が良いとされていますから、徳島や兵庫県の山間部などが産地として有名ですよね。近江盆地の、ましてや琵琶湖沿いの湿気が高い当地なんて、本当は山田錦を作るには適さない場所だと思います。でもね、適さないなりにも お百姓達が一生懸命頑張ってくれて ほんとにいいお米を作ってくれているんです。熱心な彼らの努力は 徳島・兵庫産にも引けをとらないほど高品質な山田錦を 地元でも実現してくれている。努力でハンデを克服してくれているんです。それこそが このお米の魅力だと、私は感じるのです。そもそもの適・不適といったハンデなど、努力する者の前では もはや取るに足らない、何でもない。私をこう言う気持ちにさせてくれる彼らの仕事ぶりに 私はたまらなく惹かれるのです。だから、このお米が好きで、このお米で造る『絆』が好きなんですよね。

第6章やっぱり人口が減っていけば、
消費量も減っていくことを受け入れなきゃいけない。

今後この会社をどうしていきたいとか、何かそういうのってございますか。
「企業から家業へ」という考え方を持っています。
これまで拡大の一途を辿ってきた日本経済ですが、やっぱり日本の人口が減少に転じれば経済も縮小せざるを得ませんよね。酒類業界だって例に違わず、お酒がどんどん売れた昭和の頃を基準とすれば、近年の健康ブームによる嫌酒傾向や、人間関係の希薄化によってお酒を酌み交わすシチュエーションが減ったことなど お酒の消費量が減る要因は枚挙にいとまがありません。こんな状況にあって、さっき言ったように、たくさん作るようなスタイルっていうのはこの先難しくなるだろうと思っていて、企業として大規模に造るよりは 町のお菓子屋さん、町のパン屋さんのような小規模の方が小回りや融通がきいて、引いては酒質の向上にも役立つと思うんです。そういう家業スタイルのような蔵って、今まであまりなかったと思うんです。そういうふうになっていきたいと思っているんです。
なるほど。
また、小さいからこそ出来ること、小さくなければ出来ないこと、というのもあるんですよね。
絶対あります。それは。
だから面白いんです。誰もが知っている大企業酒蔵と、当社のような小さい酒蔵が 同じ土俵に乗れて、けっこう悪く無い勝負ができるんだから。面白いですよね。

第7章お酒って なんといっても、楽しくないといけないと思うんです。

基本的にお酒って燗で飲むか冷やで飲むかぐらいかなと思ったんですけど、最近見たお酒の本に、サイダー割りにしてみたりとか、水割りにしてもいけるとか。お湯割りにしても。結構焼酎と同じような飲み方できるみたいに書いてある本あったりするんです。
ご本人が それを、美味しい 楽しいと感じてなさってることならば、それは別にいいと思いますよ。
いいんですかそれは。
焼酎とかってマテリアル(素材)だと思うんです、要するに。焼酎を買って来て 栓を開けて、そのまま飲む人ってあまりいないでしょう。これを何かで割るとか温度変えるとかするための、いわばカクテルベースのような素材。でも日本酒を買って来て、温める 冷やすぐらいはあっても、これを何かで割るっていう飲み方って滅多とない。そういう意味で日本酒はいわば完成品なんです。完成品なのだから、「あまり触らずこのまま飲んで下さい」的な商品。
そう思います。
だけど私は、いくつかお酒を並べていろんな比率でブレンドしたり、ちょっと原酒入れて濃くしといてソーダで割ってみたり、柚子とか柑橘を搾ったりっていう楽しみ方はあってもいいと思います。流石に生クリーム浮かべるとかはあかんと思いますけど。でもバニラエッセンスちょっと垂らす、なんかは自分ではやることありますよ。
バニラエッセンスですか。
コクが出るんです。ケーキとか焼くときに使うような、キルシュワッサーかなんかの、香り付けのお酒、あるじゃないですか。ちっちゃい瓶のね。
あー。はい。
ああいうのをちょっと入れるとか、面白いとは思いますよ。ただ蔵元は、日本酒に対して 吟味し尽くした完成品として世に送り出しているので、これに別の何かを混ぜてノーマルを超える品質のものが簡単にできるとも なかなか思えないですけど、ただそんな飲み方も 楽しみ方のひとつとして あってもいいと思いますね。
人それぞれ自由に楽しんでもいいということですね。お恥ずかしい話、お酒に対してすごく素人で。
素人とおっしゃるけど、先入観も何もない状態で好きなように飲んでもらって、「これ、おれ好きや」っていう味を見つけてもらったらそれでええんやと思います。それがあなたにとっての大吟醸だと思うんです。
なるほど。では最後に、お酒を飲む人口が減っていくという話をされましたが、蔵元としてお酒の楽しみ方のアドバイスなんかありますか。
人は、お酒を何のために飲むのか。それは楽しくなるためやと思うんです。そのためには、お酒に あまり決まり事は無い方がいい。造り手として、こう飲んで欲しい、こう飲んでもらうと美味しいですよ、と言った程度のお勧めは致しますが、基本的には ご自分が一番楽しい、美味しいと感じるように飲んでもらうのが いちばんであり、そんなに難しいものではないし、もっと直感的なものだと思うのです。お客さんの楽しいひと時を、「琵琶の長寿」がお手伝いできたなら まさに望外の幸せです。

酒蔵ひのやは「おいしがうれしが」の
キャンペーン推進店です。

お酒は20歳になってから 滋賀県彦根市のふるさと納税返礼品に「人々の絆」が採用されました!

ショッピングインフォメーション

全ての取扱商品は実店舗と併売させて頂いているため、予告なく売り切れとなる場合がございます。品切れの場合は当店よりメールかお電話にてご連絡させて頂きます。

支払いについて

当店では、クレジットカード決済/代金引換/銀行振込み(前払い)がご利用いただけます。

クレジットカード決済
  • JCB
  • VISA
  • MASTER
  • Diners Club
  • AMERICAN EXPRESS
  • UC
  • SAISON
  • AEON
  • MUFG
  • DC
  • UFJ
  • NICOS
  • TOKYU

上記の各種クレジットカードがご利用頂けます。与信確認の完了後、原則2営業日以内の発送となります。

代金引換
クロネコヤマトの代金引換 宅急便コレクト
商品代金
1万円未満
1万~3万未満
3万~10万未満
10万~30万未満
手数料
300円
400円
600円
1,000円

上記代引き手数料(税抜)が別途かかります。
ご注文確認後、原則2営業日以内に発送いたします。

銀行振込み(前払い)

ご注文後、以下の当店指定口座に合計金額のご入金をお願い致します。
入金確認後、原則2営業日以内に発送いたします。
※銀行振込手数料はお客様ご負担とさせて頂きます。(ご注文確認後10日以内にご入金が確認できない場合はキャンセルとさせて頂きます。)

滋賀銀行 河瀬支店
  • 当座預金口座:355694
  • 口座名義:株式会社 酒蔵ひのや
ゆうちょ銀行
  • 記号:14660
  • 番号:23110901
  • 口座名義:カ)サカグラヒノヤ
ゆうちょ銀行(他銀行からゆうちょ銀行へのお振込みの場合)
  • 店名:四六八
  • 店番:468
  • 普通貯金:2311090

ポイントについて

お買い上げの商品価格(税抜)に対して通常1%のポイントが加算されます。
ポイントが有効となり次第、「1ポイント = 1円」として酒蔵ひのや公式オンラインショップ内でのお買い物の際にご使用いただけます。

ポイントが有効となるタイミング

ご購入いただいた際に発生するポイントは商品の発送後に加算され、次回のお買い物からご利用いただけます。

ポイントの利用方法

購入手続き「ご注文内容のご確認」にて「ポイントを利用する」というボタンがございます。
お持ちのポイントを使用される場合は、ここをクリックしてください。使用するポイントは任意で決められます。

所有ポイントの確認方法

現在利用可能のポイント数はマイページにてご確認いただくことができます。

マイページを見る

送料について(税抜価格)

北海道
北海道
1,400円
北東北
青森県、岩手県、秋田県
1,000円
南東北
宮城県、山形県、福島県
900円
関東・信越
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、新潟県、長野県
800円
北陸・中部
富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
700円
県内
滋賀県
600円
関西・中国
京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、岡山県、広島県、山口県、鳥取県、島根県
700円
四国・九州
徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県
800円
沖縄
沖縄県
1,200円

送料の価格の中には梱包費として¥200(税抜)が含まれております。

税抜15,000円(税込16,200円)以上のお買い上げで送料無料
  • ※クール便対象商品は品質変化、トラブルの防止の観点から必ずクール便での発送となり、クール便代「200(税抜)」が商品価格に含まれています。
  • ※条件となる金額には送料、代引手数料は含まれません。ご注意ください。
  • ※送料は1配送ごとの料金となります。配送先が複数の場合配送先に応じた送料が加算されます。
  • ※1800ml(一升瓶)は6本以内、720mlは12本以内で1個口となります。
  • ※離島への配送の場合、上記送料と異なる場合がございます。
  • ※燃料高騰など経済事情等諸般が変更となった場合送料が変更となる場合がございます。

配送について

クロネコヤマト(ヤマト運輸)にて商品配送
  • ※ご注文受付後、原則2営業日以内に発送しております。
  • ※火曜日はお休みとさせていただきますのでご了承ください。

当日、AM10:00までにご注文頂ければ、翌日発送可能です。
できる限り最短でお届けできるよう努力致します。

  • ※全ての取扱商品は実店舗と併売させて頂いているため、予告なく売り切れとなる場合がございます。
  • ※商品の在庫がない場合等は、「翌日発送」のご対応を致しかねます。
    品切れの場合は当店よりメールかお電話にてご連絡させて頂きますので、予めご了承ください。

下記区分による配送時間の指定が可能です。

  • ※法人様の場合、時間指定は承れません。
  • ※沖縄への配送につきましても時間帯指定は承れません。
  • ※天災、事故等配送状況により指定時間にお届けできない場合がございますのでご了承ください。
店頭受け取り(送料無料)も承っております。ご希望の方は、「配送方法」で「店頭受け取り」をご選択下さい。

「店頭受け取り」をご選択いただいた場合は、お受け取りの際に店頭でのお支払いをお願い致します。
ご注文確認後、10日以内にご来店いただけなかった場合はキャンセルとさせて頂きますので、当店営業日内(AM10:00~PM8:00迄 火曜定休)にご来店いただきます様、よろしくお願い致します。
※店頭発行のポイントカードとインターネット会員ポイントの重複利用はできませんので予めご了承ください。

梱包について

当店では、商品の安全な配送の為クロネコヤマトのボトル専用箱を使用させていただいております。
なお、1配送につき3本以上お買い上げのお客様は、リサイクルカートンで配送させていただきます。
リサイクルカートン対応の場合は、ポイント【(リサイクルカートンの数) × 200ポイント】を加算させて頂きます。ポイントは、1ポイント1円として、次回のお買い物からご利用いただけます。ポイント制度はシステム上、会員様のみにしかご提供できませんので、ぜひ会員登録をしてお買い物をお楽しみ下さい。

新規会員登録はこちら

ご理解とご協力のほどよろしくお願い致します。

※リサイクルカートン・・・当店と取引のある酒造会社様から納品される際に使用されるダンボール箱を再利用したもの

詳しくはこちら
ギフト購入のお客様へ

贈り物として購入される場合は、化粧箱(税抜)も用意しております。

1800ml × 1
300円
1800ml × 2
350円
720ml × 1
290円
720ml × 2
380円
詳しくはこちら
包装・ラッピングについて

当店の商品はすべてギフト包装に対応しております。
またお祝い、誕生日祝いなど特別な贈り物でご利用の場合、スタッフが心を込めて丁寧にラッピングさせていただきます。

包装・ラッピング一覧はこちら
のし・・・無料
のし紙の文言:
上(表書き)
のし紙の文言:
下(お名前)
包装・・・無料
箱の場合:
ひのや包装紙(青、赤)
瓶の場合:
瓶を不織布で巻く
ラッピング・・・300円(税抜)

ラッピングをご希望のお客様は、各商品ページでラッピングの種類を選択して下さい。

包装・ラッピング一覧はこちら

※色・柄は予告なく変更する場合がございます。ご了承下さい。

返品について

商品がお手元に届きましたら、ご注文の内容とお間違いがないかすぐご確認ください。
商品の発送には万全を期しておりますが万が一不良品がございましたら商品を新しいものと交換させていただきます。
商品到着後7日以内にメールまたはお電話にてご連絡の上、着払いで返送してください。
商品の品質上、「欲しくなくなった」等お客様のご都合によるキャンセル、返品はお受けできかねますのでご理解頂きますようお願いいたします。

お問い合わせ先

ネットでのご注文は24時間受け付けております。
お急ぎの方、お電話でのお問合せは下記にお願い致します。

電話
TEL 0749-25-3363受付:AM10:00~PM7:00 (火曜日定休日)
FAX
FAX 0749-25-3366

※火曜日はお休みをいただいております。メールのご返信は、翌営業日となります。

特定商取引法に基づく表記